CLIP山形映画祭2024:毎年恒例だけど反応が薄い勝手に映画祭
今年もやりますかね。
ノミネート作品
というか観た映画。
仕掛人・藤枝梅安
楽しいエンタメ映画。片岡愛之助はたぶん、どう演じてもシリアスにならず、すべてが軽い。何の役を演じても愛之助にしかならないのかも。
モリコーネ 映画が恋した音楽家
普通のドキュメンタリー。よほどの映画好きなら楽しめるだろう。
イニシェリン島の精霊
訳のわかんない奴が訳のわかんない言動で惑わせる変な映画。家に能面を飾り、指を詰めたりしていく。日本の影響?
ケイコ 目を澄ませて
熱演。
ボクサーの役作りはしたんだろうけど、まるで基本はできていない状態でメイウェザーみたいなミット打ちを披露するのは違和感がある。
リングに上がりたい気持ちは理解できる人はできるけど、できない人は全くできないだろう。
耳に障害がある主人公だから思い切ってサイレント映画にすればいいのにと思うけど、さすがに無理か。
エンパイア・オブ・ライト
美しい映像の連発で、物語はそっちのけで見入ってしまった。なんてことない話なんだけど、ババアに欲情する若者なんて理解不能だわ。
崖上のスパイ
巨匠チャン・イーモウが昨年に続いて新作公開された。待ってましたとばかりに観に行ったけど、公開は1週間だけっていったい何だろう・・・
カメラの望遠と広角を頻繁に切り替える編集は、観客を惑わせる効果があるようだ。
それより、刘浩存(リウ・ハオツン)があまりにもカワイすぎて、もはや反則レベルである。
ただいま、つなかん
テレビ出身の監督は大した映画は撮れないと思ってたけど、いたく心を揺さぶられた。自分だったら立ち直れないかも、というほどの衝撃的展開を経て一代さんのヌートバー級の極端な明るさに、奇妙な憧れを抱いてしまうほど。こんな性格になってみたい。
単に記録をしていただけのカメラは、純然たる感動を焼き付ける装置へと変貌していく。素晴らしい!
エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
アカデミー7冠だの、アジア系俳優の受賞だの、いろいろ話題になった。それは米国映画に中国資金が大量に流れているだけだと思うけど。こんなつまらない映画に賞あげちゃうんだから怖い。タイトルが長くてめんどくさい。
THE FIRST SLAM DUNK
過去を時々差込む昔流行ったようなセコイ手法で、今の時代に何やってんだよ感は否めない。
みんな感動するっていうから観に行ったけど、どこで感動するのかよくわかんない。
劇場版 荒野に希望の灯をともす
すごい人がいるものだ・・・日本人医師がアフガン人を助けるわ砂漠を緑化するわで神がかっている・・・
フェイブルマンズ
発色を抑えたり、古典的な演出をしてみたり・・・そして話がつまんなくて寝た。
仕掛人・藤枝梅安 2
佐藤浩市はカッコイイし、凄い存在感だし、圧倒されてしまう。
まぁ、映画はエンタメってことでいいんじゃないですか。
せかいのおきく
うんこの映画をモノクロ映像で綴る。ウンコばかり出てくるからモノクロにしたのかもしれない。映像が美しく見えるのは現代の性能がいいレンズを使っているから、というのもある。石橋蓮司の役はハマっている。
銀河鉄道の父
森七菜ってちょっと不思議ちゃんなところがある。天然かな。
最近、宮沢賢治の本を読んだばかりのせいか、あるいはいろいろ調べて宮沢の生涯を知ったばかりだったせいか、もしくは森七菜がカワイかったせいか、不覚にも感動した。ガキの頃教科書に出てきた宮沢賢治に興味はなかったが、歳をとって「永訣の朝」なんて読んだら切なくてたまらない。
物語は宮沢賢治の生涯をなぞって物語を生成している。トシの最後の日、みぞれが降るとき彼女の真意を考える。「このまま死んだら、兄は生涯自責の念に苦しむことになる。そうさせないために、賢治の一生を明るいものにするため病に苦しみ喘ぎながらも、陶椀を差し出してくれたのだ。」
「あめゆじゆとてちてけんじや」(雨雪を取ってきてちょうだい)
生きる LIVING
クラシカルな映像とカメラワークでリバイバル上映と勘違いしたけど、日本公開は2023年3月だった。リメイクなんだからそこに拘らなくてもと思うけど。。。
クリード 過去の逆襲
主演のマイケル・B・ジョーダンはこのシリーズに長く携わっているわりに、それほどボクシングは上手ではない、もっと練習しろ。今回は監督も務めているので、ボクシングを知らないのがバレてしまった。でも現役のボクサーやレフェリー、リングアナウンサーが出演していたのはファンにとって楽しいかもしれない。ジョナサン・メジャースが怪演である。
TAR/ター
長回しのワンショットがあったりするのは効果的なのかは知らないけど寝てしまった。
パリタクシー
たぶん原題は違うけど、こうでもしないと客が入らないだろう。という感じの映画で、カッチリ決め込んだわかりやすいロードムービーになっている。日本人にフランス好きは多い。
怪物
賞もらわらなかったら客入らなくて大変だったかもしれない。あらゆる偏見や思い込みがあるもので、それがこの映画でいう怪物かもしれないけど、その話と映画としての評価は別だと思うんだけどなぁ。映画は総合芸術とかいうけど、唯一物語だけは芸術になり得ない。
君たちはどう生きるか
よくわからない話。気になるのは主人公の父親の声がキムタクということ。彼は芸能人としてプロフェッショナルなものが何もなく、歌えない、演技下手、しかし人気がある不思議なジャニーズの典型の声をしている。軍需工場で働く金持ちの父、一方で戦禍の犠牲になる母。宮崎監督のいつものパターンである人間否定、反戦、それらを父に込めているのかもしれない。
ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
とにかくうるさい。いつまでもガチャチャしてアクションが続く。しんどい。客入れればいいってもんじゃないと思うけど、完全に割り切っている感じ。顔面アップで斜め上からのショットって何か意味あるんだろうか、というほどの意味不明なカメラワークが多い気がする。
春に散る
ベタベタな映画だった。原作が沢木耕太郎だけに、主人公はカシアス内藤っぽい優しさを含んでいる。流星君はプロライセンスを取得したようだけど、簡単にプロになれるのがバレただけ。ボクサーには程遠いので基本からやり直そう。ボクサーというと主人公のような横柄なキャラクターになりがちだけど、実は神経細かい人が多いものなのだが。。。
リバー、流れないでよ
学生の映画かと思った。主人公の実家でロケしたらしい。主人公が知人と似ていて変な感情移入の仕方をしてしまった。ソフトフォーカスっぽい映像で2分を1カットで無限ループしていく。娯楽として楽しめるならいいのでは?
カード・カウンター
謎の男が謎の行動をし、謎のまま話が進んでいく謎の映画。よくこんな脚本書けると思って感心するし、役者には高度な演技力を求めた。オスカー・アイザックの凄みに屈服するだろう。
クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男
タランティーノ映画にかかわった人をインタビューしていく映画で、タランティーノにインタビューはしない・・・
沈黙の艦隊
無茶苦茶すぎる話・・・大沢たかおが悪そうな顔してた。
アナログ
年だなぁと思いながら号泣してしまった。途中にジャンプカットだの即興っぽい箇所だの、どうでもいい演出があったけど、要するに監督は誰でもよくて原作がよかったのだ。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
スコセッシはわりと初期の頃にスタイルはできあがったと思うけど、多くの監督はそうなった後に壊しにいって失敗するか普通の映画撮るようになったりする。後者に近いかなぁ。そう考えるとキューブリックはやはり天才なのだ。スコセッシは最近ディカプリオと組む機会が多いけど、そこがよくわからない。
首
娯楽に徹した感じ。首飛ばしたり切腹したり、大島渚みたいに海外意識したのかな。織田信長はずっと狂ってた。またいつかソナチネ以来のマニアックな映画撮ってくれないかと期待する。時折、監督が意図せずに見えない観念のようなものが映像に反映されることがある。かつて菊次郎の夏で登場人物がすべて孤独だったのは意図していないと思う。この映画にも何かありそうな気がして、監督に聞いてみたい。監督はきっと刹那的な性格で、さらに狂気を潜めているに違いないのだ。きっと暴力を振るいたい衝動に駆られているのではないか?逆に言えば愛情深く、人情で行動する人だろう。
ナポレオン
アービング・ペンが撮影したピカソの写真みたいな宣伝ポスターだったので、でもリドリー・スコットだしなぁ・・・と思いつつ観に行ったら美術的には綺麗なんだろうな、とは感じたけど眠くなって1時間でギブアップ。キューブリックの幻に終わったナポレオンを観たかった。
窓ぎわのトットちゃん
何かが欠落し、何かの極端さを備えている方が表現者向きなんだろうなぁと、トットちゃんをみて思う。普通なら行動をことごとく否定されるだろうし、下手すると村八分にされるが、受け入れる校長がいたのが幸いだった。
ポトフ 美食家と料理人
トラン・アン・ユンは「青いパパイヤの香り」のイメージがあって、本作はひたすら料理を作っている中で、なにか比喩的なものが隠されていると思ったけど、杞憂だった。かつて美食が芸術のひとつとされた時代があったように、主に調理場面での芸術性を求めたのかも。余計な音楽や照明を使わず自然光と調理の音を長回しのカットで演出していく。映画の芸術性はカット割りにあると思ったけど、あえての長回しで評価されたのは常に映画は進化している感じがした。
ほかげ
低予算でライティングに凝って、人の内面に迫る怖さがある。趣里って30過ぎてるとは思わなかったけど、迫力あってシリアスで、すでに親を越えていると思う。しかもこの役はハマっているのではないか。小屋で終戦を表現する監督も凄いし、このコンビでの次回作に期待する。
PERFECT DAYS
トイレの清掃員として働く平山は、同じような毎日を繰り返しているように見える。それはサラリーマンであれ、芸人であれ、学生であれ、スポーツ選手であれ、皆同じような毎日を繰り返しているのは同じだ。
基本的にロードムービーで、そこからはみ出ることはない。主人公の平山は同じような毎日を繰り返している。写真でいうタイポロジーのように、同質のものを反復することによって逆説的に違いが浮き彫りになる。平山は毎日昼、同じ場所で同じ角度で撮影をしている。まさにそれなのだ。
枯れ葉
会話のユーモアさと独特の間やテンポが物語をコミカルにさせ、恣意的に挿入される音楽は初期ゴダールを彷彿とさせたり、いろいろと映画への愛を感じさせる。すべてのショットは綿密に考えられた構図や色彩で貫かれ、最後まで美しい。あえて“作ってる感”を出す上手さがある。
金猫賞 Chat d’Or (グランプリ)
ただいま、つなかん
最初はテレビっぽい安いドキュメントかと思っていたら、恐らく監督も意図せずに映画らしい感動作へと昇華したのではないか。
「ほかげ」もよかったし、「PERFECT DAYS」もよかった・・・今年はこれまでと違って迷った。
ベストバウト賞
堤 聖也 vs 穴口 一輝
まさに激闘であった。JBCが年間最高試合(国内)に選出したのは誰も異論はないだろう。穴口選手の技術は素晴らしく、あとは経験を積めば・・・と思っていた。ご冥福をお祈りいたします。
なんとなくあげる賞
アーネスト・フランシスコ・フェノロサ
廃仏毀釈を経て、フェノロサが救った日本美術への功績は計り知れない。
「願わくば、ヨーロッパ人の真似ばかりせずに、精神を高潔にし、日本人たることを嫌うような風潮が愚弄であることを世に知らせ、日本人として誇れる高い文化の創造を切望してやまないのであります。」フェノロサの講義より
CLIP山形賞
広末涼子
純朴な人に復活を期待しよう
日本芸能大賞
アマレス兄弟
第4回ビートたけし杯に出場したアマレス兄弟が映画「首」に出演する、まさに夢のような出来事が起きた劇的コンビ。
流行語大賞2023
頂き女子
りりちゃんは2024年、だまし取った所得を申告せず、およそ4000万円を脱税したとして名古屋国税局から告発された。申告するとしたら所得の種類は何に分類するんだろう。意外と経費かかってるかも。
最後に
2023年はいい映画ばかりたくさん観たと思う。引き続き2024年も映画祭を続けたい。