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面白山コスモスベルグ:高瀬駅から始まる1時間の“特急”小旅行

 
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第1回・第2回CLIP山形編集長選抜総選挙1位、JRRC日本ラーメンライス評議会会長、JUA日本鰻重協会会長、全国いが餅選手権大会代表理事会長。 自称フランス人

高瀬駅に到着

山寺を抜けて面白山に向かおうとしたら、工事中で道路が封鎖されて通行できませんでした。

天童高原を回って行こうとすると1時間半以上はかかりそうな道のりになるので、悩んだ挙句、電車で行くことにします。(GoogleMaps調べ)

※後半に追記していますが、天童市内から30分もかかりませんでした。

山寺駅に車を長時間とめられないので、有料駐車場を利用すると500円・・・

山寺はやめて高瀬駅を始発点に決めました。

※ちなみに、天童高原経由の道は道幅があり運転しやすいが遠い。山寺から向かう方が近いものの道幅が狭く大変。天童の人に聞いたら天童高原経由がオススメとの事。

おもひでぽろぽろ

高瀬に来ると映画「おもひでぽろぽろ」を思い出します。

主人公のタエ子はここから帰ります。山形駅から帰らない理由があるのです。。。

時刻表をみると15:09発、各駅停車で面白山高原駅まで2駅で15:22着。

ところが帰りは面白山高原駅15:53発になるので、現地の滞在時間は30分程度・・・この電車に乗り遅れると2時間後になる。何という田舎っぷり!

カメラの準備

車で1時間半の道のりより電車で13分の方が楽に決まっている。東京でもないのに電車に乗るなんて高校生以来、なんて感慨に耽りつつ、そうと決めたらまずはカメラの準備をします。

レンズの交換をしている暇はないだろうから、35㎜単焦点(APS-C)をセットします。

さながらアンリ・カルティエ=ブレッソンのように、というわけにもいきませんが。

彼は決定的瞬間をとらえるため、レンズは交換せず50㎜、F8、SS1/125、ピントは10ft(約5m)と固定していたそうです。

それはそれとして。

ここで気が付いたのは電車の乗り方がわからない。完全な無人駅で券売機はなく、いつお金を払うのかすらわからない。改札もない。

小さな駅構内は出入り自由な状態で、誰もおらずシーンとしているのでホームでウンコをしても気が付かれないだろう。

いろいろ探すとベンチと屋根のあるホーム内に・・・確か、高瀬駅証明書的なチケットを発行する装置が置いてあり、ボタンを押すとウィーンと出力される。この時にお金はかからない。

それを持って乗車し、降りるときはまた考えよう。

※電車に乗らずに記念に持って帰るのはやめましょう。

さて、人の少ない電車に乗り込み面白山へ向かいます。

山寺駅に到着

数分しか経過していない気分だが、確かに近いのですぐ到着。

山寺はさすがに人は多く、外国人観光客もたくさん乗車するだろうと思ったらそうでもなかった。

ここでまた映画「おもひでぽろぽろ」を思い出します。ラストシーンでエンディングのテロップが流れる中、このまま終了と思いきやタエ子は山寺駅で降りて高瀬へと引き返すのでした。

めでたしめでたし。

電車の中から山寺を眺め、田園風景から渓谷の間を抜けるように窓の外の情景が変わっていきます。

外は緑1色が連続して飛び込んできて、シャッターを切りようにも似た景色ばかり。

面白山高原駅に到着

電車をたった一人だけ降りるとこちらも無人駅で改札がなく、電車の車掌さんが近寄ってきて先ほどの乗車駅証明と現金200円を手渡します。

この駅で降りる人は珍しいのか「え、マジで?」という顔をしていた。

気のせいかな。

その直後、あっという間に出発していきました。

駅から出るには階段を上り、人の気配がない小さな街に遭遇します。食堂、レンタルスキー、民宿っぽいところ。

怖い。

無人の異世界に突入。

そういえば面白山スキー場(スノーパーク面白山)だったところで、2009年から営業していないはず。

冬は車が通行できなくなるので、電車でしか辿り着けないスキー場だった。事故っても救急車は来れない。

駅構内でスキーを履いて、そのまま構内にあるリフトに乗るので、駅とゲレンデが一体化した特殊な構造をしている。

歩いて移動

今回は当然ながらリフトは停止しているので、歩いてゲレンデならぬコスモスベルグに向かいます。

※ベルグはドイツ語で山

リフト乗り場跡

リフト乗り場跡

緩やかとは言えない斜面を上っていくので、そこそこキツい。普段運動していない人はケツが痛くなるでしょう。

地図上でみると近いように見えて、歩くとそうでもなく感じ、そういえば滞在時間は30分しかないので焦る。

歩く途中、上から撮影した画像↓

停止したリフトが目に入ってきて、オレンジ色のコスモスが見えてきます。

レンズの選択を間違えたかな・・・遠すぎた。

タイムスリップ

道はまだ続くのでもう少し上ると、パラダイス食堂なる建物と停止したリフトが現実感を退避させます。

もしかしたらフィクション?千と千尋の神隠しのように、豚になった親がいるかもしれない。

この荒廃感を増幅させる「パラダイス」のロゴは、黄色に輝き続けていくだろう。

面白山コスモスベルグに到着

目の前には元ゲレンデの「面白山コスモスベルグ」が広がります。

ようやくたどり着きましたが、時計を見ると帰りの電車まで約20分。

撮影時間は10分程度。。。

ゲレンデの上から撮影するために、ダッシュして駆け上がる・・・そんな元気はまるでない。ここに到着した地点でかなり息が切れているのです。

一面オレンジ色に覆われて、主に「キバナコスモス」が満開でした。

夏の終わりから秋まで見られるというものの、できれば9月中旬まで訪れてこの満開の状態を見たい。ただ、他の種類は10月に咲くのもあるらしい。

センセーションやベルサイユなど8品種あるらしいですが、確認できたのは2つのみ。

約7haに100万本。一面オレンジに覆われて、圧倒された後にロマンチックになってくる。

「コスモス(cosmos)」はラテン語で星座の世界を意味するのだそうですが、ここまで多すぎると星や宇宙というイメージが湧かず、まるでメルヘンな炎のよう。

さて、帰ろう。

結局誰一人遭遇することもなく、坂を下りながら現実世界へと戻っていきます。

小走りになり、このオレンジに名残惜しさを感じながら、止まったリフトを見て本当に現実か?と疑ったりしつつ。

駅の券売機で乗車券を購入し、ギリギリ電車に間に合いました。

帰りの景色は、来た時とまるで違って見えます。

高瀬駅に到着すると、誰に券売機を渡すわけでもなく専用の箱に入れて帰路につくのでした。

再訪してズッコケる

後日、レンズを間違えた悔しさをどうにかしようと車で訪れることにしました。

天童高原に到着

天童市内から天童高原まで約15~20分程度で意外に近かったです。この日はとても晴れていて高原からの景観はとても美しく、レンズにPLフィルタをかけているかのような濃厚色のコントラストが形成されます。

天童高原上り坂

天童高原上り坂

冬はゲレンデになる天童高原スキー場のド真ん中を、ぶった切るように湾曲の道路が舗装されています。

滅多に車は通らないだろうと油断していたら、対向車のパトカーがゆっくり降りてきました。

ゲレンデを超えると森林の中を通り抜け、舗装されているものの雑然として枝や葉が落ちたまま誰も掃除しない状況を目にします。

ここはまだ綺麗でした↓

面白山へ向かう途中

面白山へ向かう途中

GoogleMapsで調べると、天童高原から面白山コスモスベルグまで4.7㎞、車での移動は50分もかかるそうなので心の準備をします。

その7分後、到着しました・・・

50分ってどこからきた数字なのかわかりませんが、もの凄く近いです。

相変わらず人はいませんが、蝶か蛾か知らぬ生き物が出迎えてくれます。

蝶かな

蝶かな

この日は時間がたっぷりあるので、坂を上までのぼりきってみます。

9月も後半になると終わりかけたコスモスも増えてきて残念。

時間に追われて鑑賞なんて無理な話で、気にせず長時間楽しみたいところ。

急いで撮影するのも上達への近道だとは思いますが。。。

今回はカッチリ絞りやらシャッタースピードやらを決めて何度も試しながらシャッターを切って、100ある写真から厳選してまともな写真を見つける。

とはいうものの、まだまだ。

運動不足なので息を切らしながら坂をあがると絶景が広がり、コスモス越しに見下ろす景観は見事。

写真じゃわからない。

日の丸構図

日の丸構図

他の種類のコスモスはほぼ見つける事はなく、ピンポイントで数か所あるだけ。

どこまで上っても同じオレンジ色のキバナコスモスだけ。

一面オレンジと緑。

紅花ではない。

あー疲れた。近くで何か食べて帰ろう。

名称 面白山コスモスベルグ
(おもしろやまこすもすべるぐ)
見頃 9月上旬から中旬
規模感 ☆☆(中)
開園時間 制限なし
料金 無料
定休日 なし
駐車場 あり
問合せTEL 023-657-3466/面白山観光協議会(藤花山荘)
アクセス JR仙山線・面白山高原駅から徒歩10分
山寺から車で40分
所在地 山形市山寺面白山

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