在宅映画鑑賞のススメ:邦画と洋画あわせて5本紹介
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
家に居てすることのない人が多いらしいので、オススメ映画をご紹介、という山形とまるで関係ない記事を書いてみます。
と思ったけど当サイトで半分冗談でCLIP山形映画祭を開催しているし、山形市では山形国際ドキュメンタリー映画祭があるのでドキュメンタリー映画も交えて書いてみます。
ゆきゆきて、神軍
1987年/日本/監督:原一男 自称、神軍平等兵を名乗る奥崎健三が、旧日本軍時代に所属していた独立工兵隊第36連隊のウェワク残留隊で起きた隊長による部下射殺事件の真相を追求するため、当時の上官や元隊員の家を訪れる。 奥崎は時に激高し、時に暴力を振るい、最後は捕まって服役することになる。 |
山形映画祭のために何度も来県されている原一男さんのドキュメンタリー映画。
映画の演出やら小細工やら、そんなこと考えている学生が観たらどう思うんだろうか。固定観念がフッ飛ばされて呆然とするかもしれない。
プライベートライアンのリアリズムを10としたら、この映画は100くらいの衝撃がある。
きっと夜は眠れなくなるはず。
ソナチネ
1993年/日本/監督:北野武 ざっくり言うと沖縄に行ったヤクザの話 |
皆様ご存じ北野武監督の作品であり、コアな北野映画ファンならこの作品を一番に選ぶ人は多い。
することがなくなったヤクザが浜辺で遊んだり、ストーリーの本筋から離れるシーンがある。タランティーノが真似してるけど、初めて観た時は新鮮すぎて驚いた。すでに誰もやっていない演出をしていたのだから天才。
荒々しい撮り方と暴力シーンがシンクロすることで、観客はより戦慄させられる。突然降りかかる暴力はお笑いに通じ、お笑いやってきたからこそ撮れた映画なのだろう。
奥山和由さんともう一度組んでくれないかなぁ。
戦艦ポチョムキン
1925年/ソ連/監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン 1905年の第一次ロシア革命時に起きた戦艦ポチョムキンの反乱を描いている。が、史実とは異なる場面は多い。 筆者個人的には、この映画にとってストーリーはどうでもいいと思う。 |
「映画の父」と呼ばれたD.W.グリフィスが映画の教科書的なものを構築したので、そこから現代においてもアートとしてはそれほど進歩していない、という人がいるのもわからんではないのだけれど、エイゼンシュテインがモンタージュ理論を確立した「オデッサの階段」シーンにはシビれる。映画史の金字塔といってもいいと思う。
レーニン政権が1924年で終わり、その後スターリンに交代したらそれまでの芸術が否定されて多くの映画監督がメガホンを取れなくなっていく。
この映画の公開は1925年でギリギリセーフで間に合ったかというとそうはならず、検閲でひっかかってオリジナル作品は闇に葬られた。
スタンリー・キューブリックは誰の真似もしなかったかもしれないけど、唯一、エイゼンシュテインのカメラワークだけは少しだけ感じることがある。バリー・リンドンとかで。
時計じかけのオレンジ
1971年/イギリス・アメリカ/監督:スタンリー・キューブリック クラシック音楽を聴きながら暴力など犯罪行為を繰り返す少年が捕まり、ルドヴィコ療法の実験台にされ、出所後は悲惨な目にあう。 |
キューブリックの映画をひとつ選ぼうと思ったけど絞るのが難しくて悩んだ結果、ある意味一番彼らしい映画にした。完璧主義者の息を呑む見事なカメラワーク、そして皮肉。
本作はとにかく斬新すぎてひっくり返る。これ以上のものは他にないはず。
2001年宇宙の旅、博士の異常な愛情、フルメタル・ジャケット、これらは本当に同じ人の映画なのだろうか。本当なのだから天才としか言いようがない。
中国女
1967年/フランス/監督:ジャン=リュック・ゴダール 文化大革命の影響を受けた若者がマルクス・レーニン主義を学習し、毛沢東主義になっていく。革命ごっこみたいな話かもしれないけど、この映画もストーリーはどうでもいい。なんなら消音して観てもいい映画。 |
筆者にとってカルトクラシックというか、どハマりした。ゴダールの最高傑作だと思う。
映像ってこんなにカッコよくなるんだ!タバコを吸うカッコよさよ!
映画でタバコを吸うシーンの多くは影響受けてないか?と思わずにはいられなくなる。
当編集長はタバコを吸わないのに、アイコンにタバコの煙を写したのはゴダールの影響だったりする。
最後に
映画にとって唯一、芸術にならないのは物語だけ。だから物語なんていらないのかもしれない。ゴダールが物語を放棄した理由は知らないけど。
しかしキューブリックは「カメラワークのエイゼンシュテイン、物語のチャップリン、それぞれ素晴らしいが、どちらかというと物語の方が大切」みたいなことを言っていた。
ではまたー