CLIP山形映画祭2022:フォーラムのプレミアム会員になってお得に映画を観よう
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ノミネート作品
ヤクザと家族
ヤクザを美化しちゃいけない。
でも綾野剛と舘ひろしに助けられた映画。
まぁ、娯楽だからいいか。
ノマドランド
ベネチアでグランプリを獲得するわ、トロントやらアカデミー賞など賞を取りまくっているから観に行ったけど、わりとコテコテのロードムービーだった。
やたらアップのシーンが多く、しかも手持ちカメラなのでゆったりとブレる。これがどうしても苦手な人は相当数いるのではないか。
BLUE/ブルー
ボクシングファンとしては、、、好きではない。ボクシング知らない人がイメージするボクサーはきっとこうなんだろう。身体をダメにしてまで現役続けるわけないし、そんなわけねぇよの連発で、まぁ物語だからいいんだろうけど誤解されたくない場面が続く。
それなりに役作りして身体を作ってきたように見えるが、パンチを打つフォームはデタラメだし、キッズ・リターンの安藤政信には遠く及ばない。
戦場のメリークリスマス(リバイバル)
話の内容は日本人の男らしさというか、日本人と西洋人の精神の葛藤というか、戦争で肉体的に負けたけど精神的に勝利したというか、何度見てもピンとこない。原作読んだけど途中でギブアップするほど読みにくかったので、まとめた凄さがある。
南太平洋の国クック諸島にあるラロトンガ島をメインにロケをしていて、恐らく日本と光の種類が違うせいで問題が生じ、同じ場所なのに違う映像であるかのように奇妙な写り方で編集されている。
前衛的な映画に挑戦してきた大島渚は何故急に古典的な演出をしたのか疑問は残る。「どう撮っても同じような気がした」というのだから作家の生理的な部分かもしれない。
愛のコリーダ(リバイバル)
ベルトルッチの「ラストランゴ・イン・パリ」に触発されてエロティシズムをさらに先に進めたらしいけど、ただヤッてるだけの映画。演出がジャポニズムというか日本的なスタイルから抜け出せないのは監督の世代的な限界だろう。
ブータン 山の教室
テレビで「ぽつんと一軒家」なんてやってるけど、もっと強烈で、たどり着つまで8日もかかる秘境でロケを敢行した。
恐らく監督はスチールカメラ出身で、被写界深度を極端に狭くしたボケまくり映像を撮ったり、カット割がイマイチ繋がっているのか違和感ある映像だったりもする。しかし出演した現地の子供が可愛すぎて、もはや細かい事はどうでもよかった。
とにかく感動するので絶対に観て欲しい映画。劇場で隣に座ったジイさんは3回泣いていた。
JUNK HEAD
たった一人、ストップモーションの映像を7年がかりで完成させた狂気の映画。
それよりカメラワークの上手さに目がいってしまった。
映像は気持ち悪くて引き込まれないけど。
HOKUSAI
独特のセリフ回しに役者は不慣れなんだろうかと想像したり、裸を見せないような映像が気になって、それだったら脱げる女優使えよとか思ったり、まぁそんな感じ。
キネマの神様
独特のゆったりした間合いとわざとらしい演技でセリフの掛け合いをしている。これによるチープさの増大は狙いなのか何なのか、山田洋次の映画はほとんど観たことないけど。脚本は主演が志村けんである前提のようだった・・・それも踏まえてほろっと涙が出そうに感動する場面があり、とても不覚だと思ってしまった。永野芽郁がカワイイ。劇場の客層は年齢層が高くて残念だった、もっと若者に観て欲しい。
孤狼の血 LEVEL2
エグいシーンの連発で、鈴木亮平が怖い。異様な存在感で主役を喰ってしまうほどだった。ただ、ヤクザの怖さとは違う気がするけどエンタメだからいいか。
2時間19分の映画だけど、あっという間に終わる。西野七瀬って迫力あるのね。
アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン
教会で行われたライブ収録を撮影したのをそのまま映画化した。ゴスペル感のあるソウル歌手の歌唱力に圧倒される。
演出的にどうこういうものではなく、アレサ・フランクリンが凄すぎる映画。
なんと、監督はシドニー・ポラック。
太陽の子
三浦春馬が戦場に向かえば泣く人は多いだろうし、田中裕子の凄みにシビれる人はいるだろう。
山に登った柳楽優弥が巨大なおにぎりを食べる長回しワンシーンが、この映画のすべてではないだろうか。愛の映画だった。
MINAMATA
思ったより低予算ぽかったのは前作がコケたからかもしれないし、ジョニー・デップのスキャンダルのせいで映画会社から闇に葬る発言を喰らったり(2021年10月現在米国未公開)など、いろいろあるものの作品と分けて考えたい。
基本的には普通の映画で教科書通りなコテコテ映画だし、序盤はスチールっぽいカメラの楽しさはあったりするかなという程度で映画として評価されないかもしれないが、それよりジョニー・デップの映画愛が伝わってくる力作だった。
事実と違う内容に本気で怒っている人がいるようで、言いたい事はわからなくもないが「そりゃ映画だもの」の返事で終わりだろう。ドキュメンタリーでさえ事実と同じにはならないし、突き詰めれば肉眼以外に事実は存在しない。
それよりジョニー・デップのカメラの持ち方がベテランのようだった。役作りではなく、普段から撮影しているに違いない。
ライトハウス
正方形に近いフィルムで撮影することで、孤島の灯台に閉じ込められた二人の空間をより狭苦しく感じさせる。ギャーギャーうるさい狂気とか幻想とか現実が入り交じり、見るに堪えられない状態が続くので苦手な人は多いのではないだろうか。
ONODA 一万夜を越えて
最後の軍人、小野田寛郎がフィリピン・ルバング島での任務を遂行し続けた過酷なサバイバル状態や人間ドラマを映画化する。フランス人監督なので日本人が鑑賞すると違和感を否めない場面が多々あったり、過酷さがイマイチ伝わってこないとか首をかしげる場面があるものの、3時間近い上映時間は苦にならずあっという間に終わるほど飲み込まれる。
燃えよ剣
ワンショットが短く編集されて、目まぐるしく話が進んでいそうで実はそうでもなかったりする。前日に溝口健二の映画を観たせいか余計にそう感じてしまった。ワンシーンなのにいったい何カットあるんだ、みたいな忙しい映像が148分続く。見終わった後は一気に疲れる。
浜の朝日の嘘つきどもと
C級スーパーチープ映画なのだけど、たまにはこういうのもアリかなぁと思いつつ、高畑充希がカワイイせいで見入ったりする。
くじらびと
インドネシアの小さな島にあるラマレラ村は、生活のためにモリ一本で巨大なマッコウクジラに挑む。一人にスポットを当ててカット割りを交互に行い、また違う人にスポットを当てるのを繰り返す。捨てカット?と思われるショットをあえて使ってみたりしている。説明を一切排除するのも一つのやり方としていいかもと思ったけど、クラウドファウンディングで資金調達したりなど何でもやりたいようにはやれない事情があるかもね。ドキュメンタリーの映画でこれほど感動する作品は滅多に出会えないので、是非とも見て欲しい。
アウシュヴィッツ・レポート
アウシュヴィッツ強制収容所から脱走した2人の若いスロバキア系ユダヤ人が収容所内の実態を告白したレポートを提出し、それによって12万人のユダヤ人の命が救われた実話の映画化。
最初から実話とわかってて鑑賞すると、感情移入の仕方が変わってくる人は多いかもしれない。ある意味ストーリー性に乏しいが、それをカバーできるのは実話を基にしているから。3日間も閉所にこもっていたら気が狂いそうだし、ウンコ垂れ流しだよね。
マトリックス レザレクションズ
ウォシャウスキー兄弟はいつの間にか、ウォシャウスキー姉妹に変わっていた。2人とも性別適合手術を受けたという。
今回の作品には、かつて映像革命とまで云われたような衝撃はなく、上記の衝撃が上回る。
ボストン市庁舎
ドキュメンタリー映画の巨匠、フレデリック・ワイズマンの新作を山形国際ドキュメンタリー映画祭で鑑賞(2021年はオンライン)した。好評なせいか一般劇場公開になっている。
懸命に仕事をする姿は国内の市役所と比較してしまうのだが・・・
ドライブ・マイ・カー
演劇の稽古では俳優に感情を抑えさせ、劇中に出てくる俳優もあるときは棒読みのようにセリフを吐く。演劇とそれ以外の場面で明確に分けているものの、俳優は両方に重なるので曖昧になるのかならないのか。もしかしたらこの演出が新しいのだろうか。
2022年を振り返り
コロナの影響で、思ったほど鑑賞する機会はなかった。文化を支えるとかで、助成金が出て安く映画を観たりした。
金猫賞(CLIP山形映画祭グランプリ)
くじらびと
「ブータン 山の教室」と迷った。演出がどうとか、新しさがどうとか、そんなのどうでもよくて感動するのだから仕方ない。
エンターテインメント賞
大谷翔平
木下富美子、小泉進次郎、河村たかし、小池なんとか、変な奴といえばほぼ政治家だったりするのは笑えない事実。闇営業とかカルロス・ゴーンみたいなネタはないので、今回は正統派な選択となった。
流行語大賞
飛ぶぞ
なんだかパッとしないけど、面倒だからこれでいいや。2021年は多目的トイレとか面白いのはなかった。
山形賞
南部虎弾
70歳を過ぎた鶴岡出身の南部さんがエスパー伊東を探していたところに、つい感動してしまう。
日本芸能大賞
渡辺隆
錦鯉で面白いのは髪の毛がある方の渡辺隆で、誰にも媚びない独特の雰囲気を身に纏う姿を見ると、もっと掘り下げて欲しいと思わずにいられない。
ベストバウト賞
中谷正義 VS ワシル・ロマチェンコ
昨年1位だった中谷選手は今年もダントツで、是非とも世界を目指して頑張ってほしい。2021年は地上波からペーパービューへと変わりつつある時期になった。金メダリストの入江聖奈も凄いと思ったけど、それは次点にするか。
おわりに
東スポ映画大賞の復活を祈る。